祖母は小島という名前の島に生まれた。北海道の東端にある、北海道全図にはでてこない、周囲わずか800mの島。
祖母が生まれたころは漁業が盛んで、漁師とその家族を合わせて100人もの人たちが住んでいたそうだ。
 
現在、訪れた島は寂寥としていた。10人ほどの島民が昆布漁をするために夏の間だけ住んでいる。
漁師は船で沖にでて、海底から昆布を掻き揚げ、小さな船が昆布でいっぱいになると、島におろして丁寧に一枚一枚を地面に並べた。島の日常は、規則正しく淡々として、永遠に続いていくかのようだった。

 

小島の近くには無人島がある。
断崖に囲まれたその島には、昔この島には戦争があったことを伝える廃墟が人知れず残されていた。
かつてこの島に住んでいた人々の記憶は消えうせ、歴史だけが目に見えるかたちで残っている。

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小さな島からもいずれ最後の島民が島から離れていく日がくるだろう。それまで島の歴史を記録したいと思う。

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